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[BOOKデータベースより]
われわれにとってヨーロッパとはいったいどんな意味を持っているのか。10年に亙る滞欧生活の中で、あるいは、プリゴジン、グリュックスマン、レヴィ=ストロースといった碩学たちと語り、あるいはロンドンのクラブライフを楽しみながら、時間の観念、音への関心、伝統に対する姿勢、形式の尊重、異質なものへの対応など、日本人とヨーロッパ人との人生観の本質を左右しているさまざまな背景を、実感こめた思索をもとに描出する。
ヨーロッパは私に方法を教えた―サルトルとお菓子
時間の流れには向きがある―プリゴジンと雲
静寂は歴史感覚を鋭くする―マードックと僧院
持続を願う意志を磨く―弓と蚊取り線香
自己の存在証明を問い続ける―モラヴィアと山小屋
本卦がえりで伝統を守る―オーウェルとパブリック・スクール
形式は生活の安定を導く―カフェとテーブルクロス
社交と談論は人を横につなぎ―クラブと寝覚めの紅茶
民族はそれに似合う風景を持つ―ゴルフ・クラブの異邦人
異質なるものに門戸を開く―英国の「風の又三郎」
「住み分け」で平和を構築する―寺田寅彦と降誕祭
相対思考は知の空間を広げる―トランプとレヴィ=ストロース
視線はいつも中心に向かう―斎藤茂吉のため息
都市の活気が天才を呼ぶ―隣人はスーラージュ
人間は夢を見続ける―ヴァレリーとバベルの塔