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戦争×書物

柏書房
アンドルー・ペティグリー 五十嵐加奈子 

価格
3,740円(本体3,400円+税)
発行年月
2026年06月
判型
四六判
ISBN
9784760156603

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内容情報
[BOOKデータベースより]

敵国を調査し、科学技術の向上、兵士の娯楽、プロパガンダのため。そこでは図書館は破壊され、文化が抹殺され、蔵書は略奪される。戦争中には、戦地や捕虜収容所でも大量の本が流通していた。戦争には本が必要だった。『我が闘争』はドイツ国内で900万部が出回り、『毛沢東語録』は10億部が配布され1億部が破棄された。戦争指導者も大量の書籍を執筆していたのだ(ヒトラー、スターリン、毛沢東、チャーチルなど)。戦時中は大量の本が作られるとともに、占領国により戦利品として大量に略奪もされた。しかし、持ち主に返還されたものはごく一部に過ぎない。17世紀の軍事文書から毛沢東語録、湾岸戦争まで書物の果たした役割とは何だったのか。

1 戦闘国家の構築
2 知識の動員
3 国内戦線
4 兵士のための本
5 爆撃機は必ず突破する
6 一九四五‐八九年:平和という戦争

[日販商品データベースより]

戦争と書物の関係とは何だろうか。まず思いつくのは指導者を礼賛し戦意を鼓舞する書籍だ。しかし、近代の戦争ではそれ以外の役割もあった。第一次世界大戦では攻めていくにも地理がわからない。そこで古い観光ガイドを探す羽目になる。しかし侵攻していく地域が平地なのか沼地なのかさえわからない。戦闘も毎日起きるわけではなく、兵士も娯楽が欲しいし故国の様子も知りたいので、雑誌や本が必要になる。これは捕虜についても同様で収容所には図書館もあった。また攻めるに当たっては占領した国を徹底的に破壊するため図書館を破壊したり蔵書(稀覯本など)を盗んだりもした。さらに敗戦国の思想を浄化するために、その国の本を廃棄したり書き換えたりする必要もあった。
 戦争によって盗まれた美術品については、その重要な価値ゆえ多くの物語が書かれてきた。しかし、書籍についてはどうだろうか。20世紀以降、数々の戦争によって図書館やその蔵書が焼かれ盗まれてきた。しかし戦後それらの返還や補償は行われていない。ベルリン、ワルシャワ、ミンスク、ミュンヘン、カッセル……これらの都市の図書館は、初期の活字本、楽譜、手稿本などを所蔵していたが、二度と同じ姿を取り戻すことはない。
 また戦争は大量の本を破棄する。戦後のドイツでの『わが闘争』100万部の廃棄、中国での『毛沢東語録』がそのカリスマ性の失墜とともに1億冊破棄されたことはどう考えるべきだろうか。
 図書館は戦争において重要な戦略的資産を保存している。米国議会図書館は太平洋諸国の図書を所蔵していなかったため、突然、真珠湾での攻撃を体験することでこの必要性を理解した。公共図書館はまた、戦時中の数多くの新しいお役所仕事として、戦時国債を販売し、配給本を配るなど、国家的な大義に関わる役割も担っていた。図書館の蔵書は、商店主や家人が従わなければならない数多くの新しい規制を伝えることにもなった。
 アメリカとロシアの図書館に置いてある本は、必ずしも同等ではないだろう。たとえ自然科学でもだ。その理由は国家の思想的背景によるものだ。では日本の図書館はどういった基準で本を選んでいるのだろうか。これらの世界史的な観点から、なぜ図書館が必要とされ、どう都合よく利用されてきたかを考えると、本というものが、自由に手に入るものだと思わされてきたのかもしれない。本書からは歴史を通じて本がどのように扱われてきたのか、その意図は何だったのかが読み取れる。

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