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[BOOKデータベースより]
高度成長、ソ連崩壊、情報化社会、専業主婦の減少…数々の予言を的中させた戦後最大の知性が遺した最後の予言。
プロローグ 実現した予言と失われた時代
第1章 「文明の生態史観」の衝撃
第2章 モンゴルの生態学者
第3章 奇説を語る少壮学者
第4章 豊かな日本という未来
第5章 情報社会論の先駆者
第6章 イスラーム圏の動乱を予告する
第7章 万博と民博のオーガナイザー
第8章 文化行政の主導者へ
第9章 ポスト「戦後」への視線
第10章 行為と妄想
エピローグ 梅棹忠夫を「裏切る」ために
高度成長、ソ連崩壊、情報化社会、専業主婦の減少……数々の予言を的中させた戦後最大の知性が遺した「最後の予言」とは?
2010年に没した梅棹忠夫(国立民族学博物館名誉教授)は、往年のベストセラー『知的生産の技術』(岩波新書)の著者として有名である。
だが、梅棹の業績の真骨頂は、戦後日本社会の変化を予言し、しかもその予言がことごとく的中したことにある。京大理学部の秀才で専攻は生物学だった梅棹は、少壮の論客として颯爽と登場し、生態史観にもとづく独自の文明論をもってユーラシア大陸の勢力図を大胆に描きなおしてみせた。
敗戦直後の時代から、すでに日本の高度経済成長を予言。マルクス主義者や「進歩的文化人」から大批判を浴びるが、その予言どおり、日本は高度経済成長を謳歌した。また日本の家族制度の変化を検証し、「妻無用論」を発表。共働きの増加と専業主婦の激減を予測し、これも的中。オイルショックの20年以上も前から中東が国際政治の震源地になると予言。1960年代からソ連の崩壊、大阪の没落なども予測していた。そしてパソコンもない時代に「情報産業論」を発表し、今日の情報化社会を予言していた。
一方で、都市開発や文化行政のオーガナイザーとしても卓越した腕力を持ち、大阪万博や国立民族学博物館の立ち上げでは、官僚や政治権力者を巧みに操った。
「知的プレイボーイ」を自認し、理系文系の垣根を軽々と越えた。フィールドワークを得意とし、若手研究者らと喧々諤々の議論をすることを好んだ。実体験に基づくオリジナリティ溢れる意見を尊重し、権威を笠に着る学者を心底軽蔑した。
そんな梅棹は晩年、「日本文明は終焉に近づいた」という不気味な予言を遺していた。
梅棹はどのようにして自らの文明論を作り上げたのか? そして最後の予言の真意とは?
生前の梅棹を知る著者が、「知的プレイボーイ」の実像をあますところなく描く。
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