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- 維摩経の世界
-
大乗なる仏教の根源へ
講談社選書メチエ 714
- 価格
- 2,145円(本体1,950円+税)
- 発行年月
- 2019年11月
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 9784065178904
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[BOOKデータベースより]
紀元一世紀頃からインドで興起した大乗仏教。初期仏教に対する批判としての大乗経典は何を語るのか。『維摩経』では在家仏教者・維摩詰と文殊、仏弟子との間での真理に関する問答により、大乗思想の根本が説かれる。仏国土とは?菩薩とは?煩悩即菩提とは?空とは?それぞれの対論はさながら芝居の場面のように人を惹きつける。一九九九年、新たに発見されたサンスクリット語写本の読解と研究成果を参照しつつ、『維摩経』の魅力を語る。
第1章 サンスクリット語写本の『維摩経』
[日販商品データベースより]第2章 煩悩即菩提という根本認識
第3章 菩薩のありようと仏国土の現れ
第4章 大乗経典は仏説か
第5章 ヴァイシャーリーの大城で―維摩と声聞との出会い
第6章 文殊が維摩を見舞い談論する
第7章 不可思議という解脱とは?
第8章 行くべきでない道を行く菩薩
第9章 維摩の沈黙を称える文殊―入不二法門への答え
第10章 園林での世尊・弟子たちと維摩
紀元1〜2世紀頃、インドで興起した大乗仏教。それまでの教理を批判し、自利よりも利他行を強調する考え方は広く中国・日本にも及ぶ教えとなった。同時代にその教理は「法華経」「涅槃経」「華厳経」などの経典にまとめられたが、日本では「法華経」「勝鬘経」とともに「維摩経」の三経を仏教の根本として聖徳太子が注釈を加えている。
本書の主題「維摩経」はやはり紀元1〜2世紀頃の成立とされ、支謙(3世紀)、羅什(4〜5世紀)、玄奘(7世紀)らが漢訳するなど、大乗経典のなかでも特に重要な経典であったが、もともとサンスクリット語で記された原典はこれまで存在が知られていなかった。それが2001年、大正大学の研究チームによってチベット・ポタラ宮の書庫でサンスクリット語写本が発見され一大ニュースとなった。
その経典のなかで教えを説くのは、在家仏教者でありながら悟りを開いたとされるの「ヴィマラキールティ(維摩詰)」である。病を得た維摩のもとへ、世尊シャーキャムニの指示により訪ねてくる弟子・シャーリプトラ、マハーカーシュヤパや文殊菩薩たち。そこで繰り広げられる弟子や文殊たちと維摩との真理に関する問答。核心にあるのは「空」「煩悩即菩提」の思想であり、菩薩とはなにか、仏国土とはなにかという大問題が展開されるが、それぞれの場面は芝居仕立てによって読む者・聞く者を強く惹きつけていく。
本書は、サンスクリット語原典写本からの和訳を引用しつつ、人びとに強烈なインパクトをもたらす大乗仏教の利他行思想を紹介する。