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[BOOKデータベースより]
「炎上」はネットの中だけの現象ではない。小泉劇場、橋下劇場、小池劇場のように、「劇場」と名の付く政治手法も、社会の炎上の一形態である。演劇、映画がブームとなるのも、典型的な炎上だ。時として社会を破壊する危険性のある炎上のメカニズムと対策を、保守の論客二人が対論形式で探る!
第1章 現代の「炎上」の基本メカニズム
[日販商品データベースより]第2章 ジャン・アヌイの作劇に見る炎上の魅惑と詐術
第3章 炎上における「隠蔽」の構造
第4章 炎上にひそむ「知性のめまい」をさぐる
第5章 炎上のメカニズムへの挑戦
第6章 仮想と炎上の戦後史
第7章 対談 炎上はコントロールできるのか
2000年代に入ってすっかりおなじみになった「炎上」という言葉。ネットで不用意な発言や写真をアップした人に対して、集中豪雨的に批判、非難が殺到するさまを、炎が燃え広がることにたとえたものだが、これはネットの専売特許ではない。
たとえば、小泉劇場と呼ばれた、小泉純一郎元総理の政治手法そのものが、社会を炎上させるものだった。そして今、小池百合子都知事やドナルド・トランプ米大統領が巻き起こす小池劇場、トランプ劇場も、社会の炎上の一形態に他ならない。
「人々の中にたまった情念が、何らかの大義名分を媒介として『天下公認の正義』のごとく認定されることにより、爆発的な形で発散され、その発散が社会的にどんどん広がってゆく現象」を炎上の定義とするならば、炎上はどこにでも生じる。
本書は、佐藤健志さんと藤井聡さんがそれぞれの炎上論を論じ、最終章で、対談によって炎上をコントロールする方法を探るという「対論」のスタイルを採用。
佐藤さんは、ジャン・アヌイの演劇論を軸に、炎上のメカニズムを論じ、藤井さんは、自身が炎上に巻き込まれた豊洲移転問題や「大阪都構想」問題を中心に、炎上が公益を毀損する危うさを論じる。
対談では、そんな厄介な炎上をいかにしてコントロールし、封じ込めるかについて、大胆な提案を行う。炎上形態のひとつとして論じられるヒットアニメ『進撃の巨人』『魔法少女まどか☆マギカ』についての考察は秀逸。
「人々の中にたまった情念」が増大していくこんにち、炎上はどこにでも起こりうる事象になっている。これと付き合わないで生きていく手段はない。ならば、本書を読んで、高らかにこう叫ぼうではないか。
炎よ、われと共に歩め!