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[BOOKデータベースより]
江戸時代初期、諸国遍歴と武者修行に励んだ宮本武蔵らの背景には、関ヶ原の戦い後の浪人たちの就職事情があった。江戸中期、武士が戦いを忘れていった時代だからこそ、庶民は赤穂浪士の討ち入りに拍手喝采した。そして幕末、その庶民が千葉周作の玄武館など町道場に通い、近藤勇ら草莽の志士たちが動乱の時代を駆け抜けた背景には、武士による政治と経済の破たんがもたらした身分制の崩壊があった。江戸時代260年間を彩る剣豪たちの太刀筋から、武士像の変遷を解き明かす。
第1章 武者修行と他流試合(宮本武蔵;柳生一族;小野忠明)
第2章 仇討ち評判記(荒木又右衛門;堀部安兵衛;井上伝兵衛)
第3章 町道場の繁栄(千葉周作;斎藤弥九郎;桃井春蔵;大石進)
第4章 人斬りの肖像(岡田以蔵;田中新兵衛;河上彦斎;中村半次郎;近藤勇;佐々木只三郎)
第5章 剣の求道者たち(東郷重位;男谷精一郎;山岡鉄舟)
剣豪の人生から辿る江戸時代の武士のあり方
二刀流で知られる宮本武蔵は、じつは一度も二刀で戦ったことがない。三六人斬りの伝説で高名な荒木又右衛門が、鍵屋の辻で斬ったのは、実際には二人だけ。剣豪たちのこうした誇張されたヒーロー像が植えつけられたのは、時代小説家の罪ではない。江戸時代中期には、すでにこれらの伝説は広く世間に受け入れられていたのだ。
江戸時代初期、諸国を遍歴して武者修行に励んだ柳生宗矩などの兵法者の背景には、関ヶ原の戦いにより、大量に生みだされた浪人たちの就職事情があった。江戸中期、武士が武芸を忘れていった時代だからこそ、庶民は堀部安兵衛ら赤穂浪士の仇討ちに拍手喝采したのである。そして幕末、町人や農民までが千葉周作の玄武館など町道場に通い、近藤勇ら草莽の志士たちが動乱の時代を血で彩った背景には、武家による政治と経済の破たんがもたらした身分制度の崩壊がある。
本書では、剣豪たちが実際に生きた時代に可能な限り近い年代に書かれた史料を使って、彼らの素顔に迫る。江戸時代260年間を飾る剣豪たちの太刀筋からは、サムライたちの変遷の歴史が見えてくる。