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菜食主義者
韓江 金ふ我
妻がある日を境に肉食を拒否し、やせ細っていく姿を見つめる夫を描いた表題作ほか、「蒙古斑」「木の花火」など、三者の目を通して語られる連作小説集。韓国最高峰、李箱文学賞受賞作。
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2012年 3月号

【特集】 K文学を読んでみよう ―韓国現代文学への誘い

韓国のドラマ・映画やK-POPで「韓流」にハマったら、次に「K文学」はいかがですか?
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エディターズガイド
「新しい韓国の文学」シリーズ新たに本を出すことの喜び │ 『母をお願い』 韓国文学を文庫で。

菜食主義者表紙

エディターズガイド 「新しい韓国の文学」シリーズ
新たに本を出すことの喜び

クオン 発行人兼編集者
金承福

「韓国の小説は面白いですよ!」。これを伝えるために、これまでレジュメをつくり、知り合いの編集者や出版社向けに作品紹介をしてきた。しかし本になるのはほんの僅か。がっかりする暇もないほど、韓国では次から次へと面白い作品が刊行される。一方、紹介したい意欲だけは募ってくる。本業のウェブ制作の仕事をしながら、十年近くこんな状態が続いていた。そしてある日、ふと気がついた。そんなに面白くていい作品があるのなら、他人を頼らず自分で出せばいいではないか!

こうした自分の考えをまわりに説明すると、なかには出資をしてくれる人も、出版の厳しさを語る人もいたが、なんとか「新しい韓国の文学」シリーズはスタートに漕ぎ着けた。作品の選定基準は二〇〇〇年以降に発表され、文学賞を受賞した作家の作品を優先するというもので、念願のシリーズ第一巻『菜食主義者』が書店に並んだのである。質のいい作品と実力のある翻訳者とともに仕事をすることは、どんなに楽しいものか。

この楽しみを読者とも共有しようとするには、まず本のかたち≠ェ大切である。

本>文学>小説>外国の小説>韓国の小説という、かなり絞られたカテゴリーに属する本。これをどう見せるか。どうすれば手に取ってもらえるだろう。そこで出会ったのがアートディレクターの寄藤文平さんだった。韓国では有名な作家であっても、日本では知られていないので、シリーズ全体を一貫したコンセプトでいくことにした。ある本屋さんでは「ジャケ買い」コーナーにも置いてもらった。「一冊の本の佇まいで、静かに時代の変化が感じられる」との評価もあって本当にうれしい。

韓国の新刊情報を毎日チェックし、現物を取り寄せて読み、気に入った作品があったら、その作家の他の作品もまた取り寄せる。なによりも自分が魔法にかかった作品を読者に紹介したい。今回、シリーズを出してメディアに紹介されると、企画の持ち込みが多くなってきた。まるで二〜三年前の自分を見るようだ。最近は日本でも韓国語を勉強する人が多くなり、なかには留学する人もいる。韓国への関心、韓国文学への関心が徐々に高まっているのを肌で感じている。

出版した本を流通させるにあたっては日本出版界の壁の高さを実感させられた苦い思い出もあるが、自分が選んで本にし、大勢の読者に紹介する喜びははかり知れないものがあり、これはもうやめられそうにない。


母をお願い表紙

エディターズガイド  『母をお願い』
韓国文学を文庫で。

集英社 文芸編集部翻訳書
岩本暢人

韓国に住む日本人が増加しているという。仕事、結婚、留学などが主な理由だろう。昨年の紅白歌合戦には三組のK-POPグループが登場した。母娘で韓国ドラマに見入る「韓流」のありさまを見ると隣国は近づいたかに見える。

しかし文学の世界に目を向ければ、そこには確実な輸出超過がある。韓国に日本の翻訳小説は溢れていても日本で韓国文学に興味を示す人間は限られていた。この現実をくつがえすべく世界的ベストセラー申京淑著、安宇植訳の『母をお願い』を世に問いたいと思った。

小説では夫婦、親子、兄妹、母と娘、母の無垢な愛といった普遍的なテーマが主にソウルを舞台に展開する。残された家族が行方不明になった母を探しながら、初めてその存在の大きさを知る様子が各自の視点から描かれる。歌、ドラマのような受身で享受できるものと違い、読者が書店に行き手に取り、レジに向かうにはどうすべきか。韓国で百九十万部売れようが米国で十七万部出そうが問題は日本。実は前作の単行本『離れ部屋』は「韓国文学は売れない」というジンクスや弊社の関連本の数字から記録的小部数となった。手に取ったとしても定価二、四一五円。これでは無理。そこで今回は契約時から文庫本として刊行することを目指した。少しでも部数を積んで一ヶ月の面陳の間に売り、かつ文庫のスペースを確保して棚ざしになってからも何か話題作りをして売り伸ばそうと。

初版七千部、定価七八〇円でのスタート。帯は角田光代さん。あとはプロモーションしかない。幸い話題性もあり著者は二十以上のメディアの取材を受けた。その後、韓国文学翻訳院の招待で講演会を行うため、再度来日することもでき津島佑子さんと対談も実現。一方こちらも、名古屋で星野智幸さんとの対談の告知のため、日帰りでのトークショーを仕込んだ。編集予算で勝手に広告も出した。ツィッターもした。

申珏秀韓国大使にも助けていただいた。百部買い上げていただき、お会いになる方々に差し上げると言われた時には感激した(同じ申だから親戚かと一瞬思ったくらい)。自国の文学のために大使がここまでのことをする。さすが大統領トップセールスの国だ。なりふりかまわず現在一万八千部。韓国文学の文庫としては健闘していると言えるのではないか。でも基本は物語の力であったことは言うまでもない。

(日販発行:月刊「新刊展望」2012年3月号より)

【特集】K文学を読んでみよう 続きは新刊展望3月号で!

新刊展望 3月号
【主な内容】
◎懐想 鈴木輝一郎 歴ヲタじゃんけん勝利の結晶
◎特集 K文学を読んでみよう―韓国現代文学への誘い 川村 湊/きむふな
詳細はこちら

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