新刊展望トップ │ [特集] 時代小説文庫、いま読むならこの作家! │ [著者とその本] 長岡弘樹 │ [創作の現場] 永江 朗
2016年 4月号
【特集】時代小説文庫、いま読むならこの作家!
関連作品
- 錦の松 / 中島要
- 一膳飯屋の看板娘・お糸は悩んでいた。長年、自分が想いを寄せている着物の始末を生業とする職人・余一にはきっぱりと振られてしまった一方で、浅草田原町にある紙問屋の若旦那・礼治郎からは嫁にきてほしいと言われたからだ。想い人を忘れることが出来ず、悶心とした毎日を過ごすお糸の姿をみて、長屋に住む達平が強引にお糸を余一のもとに連れて行った。余一はそこで自分の壮絶な過去を打ち明け、お糸とは夫婦になれない理由を告げる…。果たして二人の恋の行方は!?話題沸騰の大人気シリーズ、待望の大六弾!!
- 江戸の茶碗 / 中島要
- 貧乏長屋のお初と兄の太吉。両親は、騙されて浅草の小間物屋を失い、失意のうちに亡くなった。「必ず店を買い戻そう」と固く誓う太吉が、二十両の有り金をはたいて名品“井戸の茶碗”を入手。だがそれは、真っ赤な贋物だった。弱り果てた兄妹に声をかけたのは、隣に住む赤目勘兵衛。高値で売ってやるという、酒びたりの浪人にどんな策が!?新世代の人情時代小説!
- 晦日の月 / 中島要
- 名代の十手持ち辰三が姿を消したのは昨年暮れ。上方の悪党「名なしの幻造」を追ったまま行方がしれない。縄張りの日本橋をあずかる子分の文治だが、切れ者の親分と比べると頼りにならない。辰三の娘お加代が、御用の向きにも口を挟んでくる。心根の優しい大男と跳ねっ返り娘が智恵を寄せ合い、御用の謎を解き明かす。時代小説の新鋭が情感豊かに描く、傑作捕物帖。
- かりんとう侍 / 中島要
- 日下雄征は旗本の次男坊、気ままな部屋住みの身だ。凛として色気のある芸者・鶴次と情を交わしたり、好物のかりんとうを囓って過ごしていた。しかし、黒船来航で大騒ぎの世の中で一抹の不安に駆られる。そんな時に出会った戯作者・鈍亭魯文と意気投合。二人は、雄征の幼馴染みの切腹事件や、爆発した水車小屋をめぐる幽霊話の真相を探るのだが…。進むべき道を模索する青年の成長と彼を支える人々の優しさが胸を熱くする極上の時代エンターテインメント!期待の新鋭が放つ幕末青春物語。
- ひやかし / 中島要
- 吉原に身を売られた武士の娘おなつ。我が身の不幸を嘆くばかりで、お茶を挽く毎日だったが、あるとき、自分を見つめる浪人がいることに気付く。毎日ただ立ち続けるだけの男のことが気になり、おなつは当てつけるかのように客をとって、売れっ妓へと変わっていく。浪人の真の目当ては!?(「素見」)もの哀しくも艶やかに生きる遊女たちの矜持を活き活きと描く全五作。
- 刀圭 / 中島要
- 長患いを負い目にし、自害を試みた一三を救った若き医者・圭吾。日本橋福島町の長屋に居着き、住人から頼りにされていた。だが、懇意にする薬種問屋の若旦那とのいざこざから、薬が手に入らなくなる。亡き父から託された教えを胸に刻みながらも、圭吾は志を失いかけていた。そこに永代橋が落ち、多くの怪我人が出たとの報せが。小説宝石新人賞作家の長編デビュー作。
- 付添い屋・六平太 鳳凰の巻 / 金子成人
- 六平太は、夕闇のなか三人の侍に襲われている男を行きがかり上、助けた。狙われた男は、大身の旗本、戸田左近家中の高山金之丞。高山は、女郎と心中した戸田左近の身代わりにされ、死んだことにされていた。
- 付添い屋・六平太 龍の巻 / 金子成人
- 時は江戸・文政年間。秋月六平太は、信州十河藩の供番(篭を守るボディガード)を勤めていたが、十年前、藩の権力抗争に巻き込まれ、お役御免となり浪人となった。いまは裕福な商家の子女の芝居見物や行楽の付添い屋をして糊口をしのぐ日々だ。血のつながらない妹・佐和は、六平太の再士官を夢見て、浅草元鳥越の自宅を守りながら、裁縫仕事で家計を支えている。相惚れで髪結いのおりきが住む音羽と元鳥越を行き来する六平太だが、付添い先で出会う武家の横暴や女を食い物にする悪党は許さない。立身流兵法が一閃、江戸の悪を斬る。時代劇の超大物脚本家、小説デビュー!
- 付添い屋・六平太 虎の巻 / 金子成人
- 十一代将軍・家斉の治世も四十年続き、世の中の綱紀は乱れていた。浪人・秋月六平太は、裕福な商家の子女の花見や芝居見物に同行し、案内と警護を担う付添い屋で身を立てている。外出にかこつけて男との密会を繰り返すような、わがままな放題の娘たちのお守りに明け暮れる日々だ。血のつながらない妹・佐和をやっとのことで嫁に出したものの、ここのところ様子がおかしい。さらに、元許嫁の夫にあらぬ疑いをかけられて迷惑だ。降りかかる火の粉は、立身流兵法達人の腕と世渡りで振り払わねば仕方ない。日本一の人情時代劇、第二弾にして早くもクライマックス!
- 付添い屋・六平太 鷹の巻 / 金子成人
- 浅草元鳥越に住む浪人・秋月六平太の稼業は、付添い屋。裕福な商家の子女が花見や芝居見物に出かける際、案内と警護を担い身を立てている。血の繋がらない妹・佐和と暮らす居宅と、相惚れの仲である髪結いのおりきが住む音羽を往復しながら、借金三十両の返済に頭を悩ませる日々だ。信州十河藩藩士だった六平太は、十二年前、権力抗争に巻き込まれ家中を追われた。その原因ともなった義理の母の弟、杉原重蔵が江戸で目撃された。脱藩者で反逆者の杉原を、十河藩江戸留守居役小松新左衛門が許すはずもない。日本一の人情時代劇、風雲急を告げるシリーズ第三弾!
- 付添い屋・六平太 鷺の巻 / 金子成人
- 江戸時代、主家を追われ浪人となった侍は、無収入からの脱却に悪戦苦闘した。かつて信州十河藩士だった秋月六平太は良家の子女を案内、護衛する付添い稼業によって生計を立てている。播磨石郷藩米倉家藩主の側妾お佐江の方の娘、結衣の輿入れが決まった。お佐江の方は西国へ嫁ぐ結衣に、最初で最後の江戸見物をさせたいのだという。一方、十河藩では十二年前の権力抗争が再燃していた。藩御用達の菓子屋や料理屋に顔を出す六平太の存在が目障りな江戸留守居役小松新左衛門は、ついに刺客を差し向ける。時代劇の伝説的脚本家が贈る、日本一の人情時代劇第四弾!
- 付添い屋・六平太 玄武の巻 / 金子成人
- 付添い屋を稼業とする秋月六平太は、遠路鎌倉までの仕事を頼まれた。行き先は、駆込み寺として知られる東慶寺。味噌問屋「森嘉屋」のお内儀お栄は、夫の仕打ちに耐えかねて、離縁を決意したという。一方、六平太のかつての主家である信州十河藩加藤家は危急存亡の秋を迎えていた。財政難のところに、ご公儀から徳川家所縁の寺の改修を申しつけられたのだ。難局を乗り切るには、千両以上借金をしている材木商「飛騨屋」の力にすがるしかない。飛騨屋の妻女と昵懇の仲である六平太に、旧友から呼び出しがかかる。日本一の王道人情時代劇、円熟のシリーズ第五弾!書き下ろし長編時代小説。
- 付添い屋・六平太 朱雀の巻 / 金子成人
- 良家の娘は、総じて気前がいい。付添い屋で身を立てている浪人・秋月六平太にとって、上客のおひねりほどありがたいものはない。その中でも、木場の材木商「飛騨屋」のお内儀おかねと、その娘お登世は、別格のお得意様だ。しかし、お登世の友人・美緒の芝居見物に付添ったころから、様子がおかしくなった。美緒がお登世に、六平太とただならぬ関係があったかのように話したからだ。悩みの種はほかにもある。血の繋がらない妹・佐和は縁談に足踏みしているし、窮地に立つ元の主家・十河藩の行く末も気にかかるのだが…。日本一の王道時代劇、第二部完結編!
- 居酒屋お夏 / 岡本さとる
- 目黒不動で居酒屋を営むお夏。化粧っ気はなく毒舌で、くそ婆ァと煙たがられているが、懐かしい味のする料理は評判だ。ある日、客の一人だった遊女が殺され、お夏は静かな怒りに駆られる。実は彼女には、妖艶な美女に変貌し、夜の街に情けの花を咲かすもう一つの顔があった―。孤独を抱えた人々とお夏との交流が胸に響く人情小説シリーズ第一弾。
- 居酒屋お夏 2 / 岡本さとる
- 口は悪いが、料理は旨い女将のお夏。常連客である貧乏浪人の亀井礼三郎・春之助親子の前に、家を捨てたはずの女房・おせいが現れた。春之助を強引に取り戻そうとするおせいの背後に怪しい影を感じたお夏が、料理人の清次と突きとめた姦計とは?客のささやかな幸せを守るため、艶美な姿で悪事を暴くお夏の活躍を描いた待望のシリーズ第二弾。
- 居酒屋お夏 3 / 岡本さとる
- 居酒屋の名物女将・お夏の許に、髪結の鶴吉から思わぬ報せが届いた。二十年前、お夏の母を許し難き理由で無礼討ちにした才次が名を変えて船宿の主に納まっているという。凄まじい殺人剣の遣い手を用心棒に雇い、温和な仮面を被る才次を討つため、お夏は料理人の清次らと共に策を巡らした大勝負に挑む。無念と憤怒を晴らすシリーズ待望の第三弾!
- 居酒屋お夏 4 / 岡本さとる
- 悲願の仇討ちが、新たな波乱の幕を上げる―。人情居酒屋の毒舌女将・お夏に忍び寄る黒い影。その裏には、縄張り拡大を目論む悪党・市蔵の思惑が。しかも、お夏が敢行した仇討ちを、高輪から品川を取り仕切る五郎蔵一家の仕業と勘違いしている。野心と復讐心に燃える市蔵。このままでは江戸に血の雨が降る。お夏は止められるか?激動の第四弾。
- 血脈 / 岡本さとる
- 直心影流の継承者を決める大仕合から四年。三田に剣術道場を構える峡竜蔵は幼馴染である綾を妻に迎え、その翌年には長男・鹿之助を授かっていた。順調に門弟も増え、賑わいを見せる峡道場。そんなある日、綾は、竜蔵が幼い頃から生活の面倒をみてきた内弟子・雷太の様子にどこか翳りがあることに気づく。いつもは明るく道場の人気者、雷太の変化の理由とは…。夫となり父となっても己が剣の道を生きる峡竜蔵が、今度は信愛する弟子たちを厳しく温かく育てていく―。大好評「剣客太平記」シリーズ、新たなる始動。
- 取次屋栄三 / 岡本さとる
- 侍になろうと剣豪の道を進んだものの、秋月栄三郎は権威と保身に走る武士に幻滅し、取次屋という商売を始めた。武家と町人のいざこざを、知恵と腕力で丸く、時には強引に収める仕事である。が、大坂の商家から幼馴染が訪ねてきたのがきっかけで、栄三は横暴な武家のとんでもない事件に巻き込まれる。デビュー作にして「笑える、泣ける!」傑作時代小説がここに誕生。
- 剣客太平記 / 岡本さとる
- 時代小説界期待の新鋭!「水戸黄門」など人気時代劇テレビドラマの脚本をてがけた著者が、初めて記す書き下ろし時代長篇。
- 公家武者松平信平 / 佐々木裕一
- 公家鷹司信房の子・信平は庶子であるため門跡寺院に入るしかない。坊主になりたくない信平は十五歳の時に、将来家光の正室となっていた姉の孝子を頼って江戸に出た。家光は信平に五十石の禄高と深川に百五十坪の土地と屋敷を与えた。こうして貧乏旗本暮しを始めた信平は持ち前の気品と秘剣で江戸の悪を斬ってゆく。
- 青い目の旗本ジョゼフ按針 1 / 佐々木裕一
- 徳川家康が重用したイギリス人三浦按針を父に、日本人を母にもつ三浦ジョゼフ按針。父亡き後、旗本の地位と領地、朱印状を継いだ。ある日、嵐により持ち船が難破、三浦半島に漂着したジョゼフは、その地を治める衣笠藩のお家騒動に巻き込まれる。背後にはジョゼフを追い落とそうとする老中の陰謀が…。破天荒な旗本の活躍を圧倒的スケールで描く、新たなる時代活劇!
- 京嵐寺平太郎 / 佐々木裕一
- 宝暦2年。江戸では怪事件が相次いでいた。つむじ風とともに大名家の姫を攫いに現れたのは―鬼だった。広島藩の下屋敷でのんびり暮らしていた京嵐寺平太郎は、突然幕府の命を受け怪事件解決に乗り出す羽目に。だが事件の裏には、徳川家に怨念を抱く僧侶の影が…。幼馴染の三つ目入道や妖艶な白狐のおきん、気まぐれな“妖刀茶丸”など、仲間の妖怪たちと力を合わせて立ち向かう、妖怪痛快時代小説、シリーズ第1弾。
- あかり / 佐々木裕一
- 腕のいい蝋燭職人の父との確執から家を飛び出した照介は、十年に亘る放蕩無頼の生活の末、実家である蝋燭問屋に舞い戻る。すでに父は亡くなっており、家業は弟の次郎が継いでいたのだが、往時の繁盛ぶりは見る影もなく…。(「あかり」)―家族の愛憎を扱った表題作をはじめ、米つき屋、廻り髪結いなど、江戸の市井で懸命に生きる人々の、日々の暮らしぶりや人間模様を描いた、傑作人情絵巻シリーズ第一弾。書き下ろし時代小説。
- 龍眼 / 佐々木裕一
- 九代将軍徳川家重。彼は言葉が不明瞭なため、実権は父吉宗が握っていた。しかし、家重は苦しむ民を無視する父に反発し、自らの手で政をと願っていた。引退した御庭番・里見影周こと伝兵衛は、その思いを知る数少ない家臣であった。彼は家重の病を治す秘薬の存在を知り、旅に出ることに。吉宗、そして権力の座を狙う者の妨害を潜り抜け、無事に薬を届けられるのか!?
- 風の市兵衛 / 辻堂魁
- 柳原堤下で、武家の心中死体が発見された。旗本にあるまじき不祥事に、遺された妻と幼い息子は窮地に陥る。そこにさすらいの渡り用人唐木市兵衛が雇われた。算盤を片手に家財を調べる飄々とした武士に彼らは不審を抱くが、次第に魅了される。やがて新たな借財が判明するや、市兵衛に不穏な影が迫る。心中に隠されていた奸計とは?“風の剣”を揮う市兵衛に瞠目。
- 花の嵐 / 辻堂魁
- 北町奉行所吟味方与力助・鼓晋作は、江戸町会所七分金積立の使途不明金を探索していた。七つの町を取り締まる平名主・逢坂屋孫四郎を横領の疑いで詮議立てする直前に、孫四郎雇いの書役である藤吉が、姿をくらました。さらに藤吉の住家で、惨殺され血塗れの双親と女房の無残な死体が発見され、まだ乳飲み子の姿が消えていた。この一件は、お調べの手が迫り、使い込みの発覚を恐れた藤吉が錯乱し、一家無理心中を謀ったあと、小名木川に身投げしたとして処理され、藤吉ひとりの仕業として一件落着された。だが、事件から十一年後、使途不明金に関わりのあった者らが次々と殺されてゆく。情けと剣の傑作長編時代小説。全面改稿のリニューアル版!
- 読売屋天一郎 / 辻堂魁
- 築地の読売「末成り屋」。その主、水月天一郎の元へ勘定吟味役と水油仲買商人が癒着しているとの情報が入った。探索を始めた天一郎はすぐに何者かに襲われる。そして、新たに入った情報を追う天一郎の前に現れた侍たちの影。正義のため瓦版に命をかける天一郎の剣が煌めく。迫力の剣戟に、胸躍る展開、心を打つ物語―。大人気の著者が放つ渾身の新シリーズ第一弾。
- 仕舞屋侍 / 辻堂魁
- かつて御小人目付として剣と隠密探索の達人だった九十九九十郎。だがある事情で職を辞し、今は「仕舞屋」と称してもみ消し屋を営んでいる。そんな九十郎の家を、ある朝七と名乗る童女が賄いの職を求めて訪れた。父母を失ったという七は断っても出て行かず、父仕込みの料理で九十郎を唸らせる。「侍」のもとで働きたいという七の真の目的とは?九十郎の情と剣が、事件と心の綾を解く!時代小説・書下し。
- 介錯人別所龍玄始末 / 辻堂魁
- 別所龍玄の祖父・弥五郎は、牢屋敷の死罪の首打ち役だった。龍玄はその生業を継ぐが、龍玄の腕の冴えを伝え聞いた武家から切腹の介錯を頼まれるようになる。不浄な「首きり人」と陰口を叩かれる龍玄の元に介錯の依頼に訪れる武家は、表には出せない事情を抱えている。しかし龍玄は事情の如何にかかわらず、自らがなすべきことを貫く…。凄腕の介錯人の清冽な生き様を描く、人気作家の新境地!
- 双星の剣 / 辻堂魁
- 天保九年。天保世直党を名乗る義賊集団が起こした悪徳米仲買の誘わかし事件は、米価吊り上げに苦しむ江戸庶民の鬱憤を一気に晴らす痛快事だった。面目を潰された目付の鳥居耀蔵は若き目付・甘粕孝康に一味の捕縛を命じる。隠居した父の智恵を借りながら世直党を探る孝康の前に現れた、一味の首魁・斎乱之介の正体とは。追う者と追われる者は、互いの才気と意地に驚嘆しつつ剣を交える。
- 鬼役 1 / 坂岡真
- 毒を啖うて死なば本望―将軍家毒味役を務める御膳奉行、またの名を「鬼役」。十八年間、鬼役を務めてきた矢背蔵人介には、もう一つ「暗殺役」という隠れた顔があった。ある日、蔵人介は非道の御用商人を成敗する。しかし、そこから幕閣の隠謀に巻き込まれ―。豊富な脇役たちを取り揃え、蔵人介の田宮流居合術の「剣」が巨悪を裁く壮大なシリーズ第一弾、開幕。
- 虎に似たり / 坂岡真
- 奔放な性格ゆえ播州龍野藩を追放された、若き剣の遣い手・毬谷慎十郎。彼はひたすらに強い相手と闘うことを夢みて、故郷を飛び出した。慎十郎の想いはただ一つ―生きること、すなわち力あるものと刀を交わし、己の強さを確かめること。しかし、道場破りのため江戸三大道場のひとつ練兵館の門を敲くも、そこで女剣士・咲にまさかの完敗を喫する。一方、大塩平八郎が窮民救済を訴え出た反乱が起きてからこっち、江戸では世情不安が続き、「黒天狗」と名乗る一党による打ち毀しが後を絶たず…。虎のごとく猛々しい男の剣と生き様が、江戸の町に新風を巻き起こす。装いを新たに刊行。
- 土風 / 坂岡真
- 江戸に強風が吹き荒れ、市中に黄砂が煙る頃。神田馬ノ鞍横町で口入屋を営む蛙屋忠兵衛は、小商いばかりで、うだつの上がらぬ毎日。昼酒を啖い、無聊を託つが、忠兵衛には女房のおぶんも知らぬ、裏の顔があった―。雲弘流の達人「殺生石」柳左近。不傳流の若武者、琴引叉四郎。そして稀代の仕掛人、「帳尻屋」忠兵衛。蔓延る悪に引導を渡す、闇の男たちの活躍を描く、痛快無比の新シリーズ参士!
- 闇同心そぼろ / 坂岡真
- 八丁堀同心の猪山主水之介、通称“そぼろ”は、北辰一刀流の凄腕にもかかわらず、閑職に追い込まれ自堕落な日々を過ごしていた。そんな折、同僚の坂木が相対死で発見され、主水之介は切り捨て御免の闇仕置きを行う「五稜組」に転出を命じられる。坂木の死の真相を探る主水之介が暴いたのは、阿片と大奥女中の売春が蠢く江戸の暗部だった―。
- 崖っぷちにて候 / 坂岡真
- “のうらく者”北町奉行所金公事方与力・葛篭桃之進は、美少女剣士・狩野結への浮気心で一念発起、大手柄を挙げた。だがその“ご褒美”は、なんと金公事方の廃止と配下の馬淵、安島ともどもの謹慎。そんな中、今度は田沼意次と一橋家という雲上の幕閣内の権力争いに巻き込まれて…。馘首寸前の芥溜三人衆の運命やいかに?人気シリーズ、痛快さ大増量で新装開店!
- 抜かずの又四郎 / 坂岡真
- 江戸に山吹の花が咲き乱れる春、雲州からやってきた若い浪人がいた。不傳流の師から譲り受けた愛刀助広を紙縒で封じた琴引又四郎。古びた口入屋「蛙屋」に足を踏み入れたことから、悪を懲らしめ善悪の帳尻を合わせる「帳尻屋」と呼ばれる集団や、殺生石と異名を持つ凄腕の浪人柳左近と親交することになる。著者渾身のシリーズ第一弾。
- 月 / 坂岡真
- 悪党どもから「南町の虎」と畏怖されていた元隠密廻り同心、伊坂八郎兵衛。ゆえあって京都の朽ちかけた寺門を叩く。一宿一飯の恩義に、盗まれた黄金の仏像を奪い返す仕事を受けることに。生きるべき新たな標を探していたはずが―「堕ちるのか、このまま」。気づけば無実の罪で、三条河原で晒し者。波瀾万丈の陰には女あり。豪壮にして無比、立身流の秘剣が、次々と襲いくる強敵を断つ。
- 蓑虫 / 坂岡真
- 謎の失踪から二十年余り、ふいに勘兵衛の許へ帰ってきたお静。事情も訊かずに迎え入れ、医者仁徳と三人、恙無い一年半が過ぎ行きた。今では、定町廻り鯉四郎に嫁いだ一人娘、綾乃の腹に孫が宿る幸せも、しかし何故か、ふと居たたまれなくなる勘兵衛は、忙しい探索の合間にも、おふうの幻に縋ろうと、独りでに浮瀬へと足が向く…。慈愛と悲哀に、喜楽と憤怒を織り込んだ、傑作風流捕物帖。
- 大江戸人情小太刀 / 坂岡真
- 江戸堀江町は履物屋と傘屋が多く、照れ降れ町とも呼ばれていた。その裏長屋に住む浪人浅間三左衛門は、十分一屋(仲人屋)のおまつに食わせてもらっている。下駄職人次郎吉が身投げ女を救ったことから、持参金目当てで商家の娘を嫁に迎え借金返済を済ませたあとでいびり出すという札差と旗本の企みを知る。三左衛門の侠気と富田流小太刀が悪を断つ。江戸の情緒と人情を活写した書き下ろし長編時代小説。
- 犬の証言 / 野口卓
- 「ねえねえ梟助さん、聞いて聞いて」話し上手で聞き上手の鏡磨ぎ師・梟助じいさんは今日もひっぱりだこ。五歳で死んだ子供が別の夫婦の子として生まれ変わっており、飼い犬が思わぬ証言をした!?という噂から、犬が人に、人が人に生まれ変わったらと思わぬ方向へ話は広がり…切なくも温かいシリーズ第三弾。
- 心の鏡 / 野口卓
- 流しの鏡磨ぎ師の梟助さんは、話し上手で聞き上手。江戸の町には梟助さんの噺を楽しみに待ってる人がたくさんいます。古い鏡にただならぬものを感じ、精進潔斎して鏡磨ぎの仕事に挑む表題作など全五篇。
- ご隠居さん / 野口卓
- 腕利きの鏡磨ぎである梟助じいさんは、落語や書物などの圧倒的な教養があり、人あたりもさわやか。さまざまな階級の家に入り込み、おもしろい話を披露し、ときにはあざやかに謎をときます。薀蓄は幅広く、情はどこまでも深い。このじいさんの正体やいかに…。江戸の“大人”を描く、待望の新シリーズ誕生!
- 軍鶏侍 / 野口卓
- 二人が手を放すと同時に、軍鶏は高く跳び上がり、鋭い爪を突き出して相手の顔を狙う―。闘鶏の美しさに見入られ、そこから必殺剣まで編み出した隠居剣士・岩倉源太夫。その腕を見込まれ、筆頭家老から呼び出しを受けたことから藩の政争に巻き込まれることに。そんな折、江戸で同門だった旧友が現われる…。流麗な筆致で武士の哀切を描く、静謐なる時代小説誕生。
- 闇の黒猫 / 野口卓
- 闇の黒猫。水際立った手口で大金を奪い去る盗賊は、いつしかその異名で呼ばれていた―。腕が立ち、情にも厚い定町廻り同心・朽木勘三郎と、彼に心服する岡っ引たちは、商家の盗難騒動、茶問屋跡取り息子失踪事件を鮮やかに解き、いよいよ江戸の闇夜に跋扈する「黒猫」の正体へと迫ってゆく…。文芸評論家・縄田一男氏に大器と絶賛された、野口卓、入魂の書き下ろし時代小説。
- 猫の椀 / 野口卓
- 荷を背負ったまま、漆職人の兼七は呆然と土間に突っ立っていた。ようやく納得のいく品が仕上がったのに―。女房子供に捨てられてまでのめり込んだ漆器作り。それを披露する注文主の死に落胆した兼七は、あてどもなく町を歩いた。そうしてふと気づくと、路地の奥にある奇妙な小店に辿り着いていた(『猫の椀』より)。夢現の世界の中に人の温もりを描きこむ、傑作時代短編集。
- 孤闘の寂 / 芝村凉也
- 元禄時代、紀州藩の家臣、意行が化け物が出るという穴を探索して遭遇した、驚愕の光景と日本を揺るがす災厄。江戸に頻発する怪異は、その災厄が意次支配の天明の世に再来する予兆か。策略を闇でめぐらす意次。期せずして人にあらざる力を持った一介の浪人・半四郎の行くべき道とはいずこや?
- 鬼溜まりの闇 / 芝村凉也
- 不祥事で藩を追放された半四郎は、生きる希望を失い江戸の町を彷徨う。切腹するしかない、と決意して刀を鞘から抜いた時、目の前を火の玉が揺らめいた。その場に現れた謎の老人・聊異斎に怪異退治を請われ、素浪人の第二の人生が始まる。縄田一男も賞賛する実力派新人、待望の新シリーズ。文庫書下ろし。
- 夢告の訣れ / 芝村凉也
- 江戸焼失は寸前で回避されたが、強大な怪異は幕府をも揺るがし始める。神隠しの古井戸を怪異の地下通路「龍穴」と睨んだ平賀源内は、幕府によって始末されていた。権勢を振るう老中と、怪異による世の乱れに乗じて復讐を企む将軍家跡取りの争いに、類い稀な妖力を持つ半四郎は巻き込まれる。怪異が招く乱世。「怪異出現編」完結!
- 憂き世往来 / 芝村凉也
- 本所南割下水に住まう御家人、三日日左門の屋敷の近所に元旗本の青砥家の兄妹が越してきた。父の不祥事により、禄を減らされお役を取り上げられた二人はお家の再興を願うが、妹の智与の美貌に目をつけた無法の集団が蠢きだす―。紛うことなきサンピンなれど、頭も腕も天下一品。気が向かなければ動かぬが、ひとたび動けば華麗に蹴飛ばす、圧巻の無頼漢、三日日左門の活躍を描く、注目の新シリーズ!
- 春嵐立つ / 芝村凉也
- 遠州の小藩・定海藩の御蔵奉行を兄に持つ筧忠兵衛だったが、その兄が改革の首謀者とみなされ自らも藩から追われる身に。「御前」と呼ばれる謎の人物の助けで密かに江戸に脱出した忠兵衛を待っていたのは、曰くありげな御家人と気のいい町人たち、そして、江戸を二分する町火消しと魚河岸衆の大喧嘩だった。期待の新人デビュー作。
- 富突吉凶 / 芝村凉也
- 左門が義堂一角を討ち果たしたことで、難を逃れたお神楽一家に、とある寺から、寺が催す富突の札を引き取ってほしいという依頼が持ち込まれる。だがその富突を巡っては、妙な噂が流れていた―。赤鞘組副頭目轡田兵庫の実力がついに明らかに!?男も惚れる無頼漢、三日日左門の活躍を描く、驚愕のシリーズ第四弾!!
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