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著者とその本

今月の作品

波形の声
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教場
「君には、警察学校を辞めてもらう」。この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない…。長岡弘樹初の本格的連作長編にして、好事家をもうならせる、警察学校小説。
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傍聞き
患者の搬送を避ける救急隊員の事情が胸に迫る「迷走」。娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心揺さぶられる「傍聞き」。女性の自宅を鎮火中に、消防士のとった行為が意想外な「899」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。まったく予想のつかない展開と、人間ドラマが見事に融合した4編。
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2014年 4月号
長岡弘樹さん 『波形の声』

昨年発表した『教場』が大ヒットの長岡弘樹さん。新刊『波形の声』に寄せる読者の期待値は高い。それにしっかり応えてくれる、上質なミステリー短編集である。

4年2組の中尾文吾が自宅で何者かに襲われた。事件直前に近所の人が耳にした文吾の声から、疑惑の目は補助教員の谷村梢に向けられる。だが真相は……という「波形の声」。ほかに、高校時代のライバルに対抗心を燃やす老境の男性が主人公の「宿敵」、部長昇進のポスト争いに囚われるキャリア女性の心を描いた「黒白の暦」、グアムを舞台に幻の絵画をめぐる誘拐事件の顛末を綴った「ハガニアの霧」など、全7編。「自分にどんなものが書けるのか模索しながら、いろいろなアイディアにチャレンジしました」との言葉通り、年齢や立場さまざまな人間模様を織り込んだ、多彩な物語が並ぶ。

リアルな人間描写によって冒頭から作品世界に一気に引き込まれ、謎が明らかになるラストで思わず胸を衝かれる─鮮やかなトリックと確かな人間ドラマの両輪が、長岡作品の大きな魅力だ。「人間を描く上で大切にしていること」を著者はこう語る。
「台詞の代わりに、しぐさや小道具で内面を語らせることを心がけています。それが成功すれば、血の通った人間を表現できると」
人間を浮かび上がらせる「小道具」「物」。そこに着目して読むのも、楽しみ方の一つかも知れない。
「意識しているのは映画です。台詞を絵に置き換えて見せていく。映画が好きなことは、少なからず作品に影響しているでしょうね」

一方、ミステリーの「核」となるアイディアは、膨大な時間をかけて練り上げられる。
「本を読んでいておもしろい情報に出会ったり、誰かと会話しているときに驚くような話を聞くと、メモしておきます。しばらく経ってそのメモを目にすると、何かが生まれてくることがあるんです。しかし、それがそのまま小説になるのではなく、自分なりの加工を施していく必要がある。メモを何度も目にしては考えるという作業を繰り返していくわけです。僕の場合、1つの作品が出来上がるまでに10の時間が必要だとすると、そのうち8までは、手を動かさないで腕組みして考えている時間。ひたすら、家の中をぐるぐる歩き回っています(笑)」
本書収録の7編は、2009年から13年にわたって雑誌掲載されたもの。その1編1編が、そんな過程をたどって生まれてきたのだろう。

「ミステリーを書く醍醐味って、ITエンジニアのそれに似ているのかも。自分が書いたプログラム通りにコンピュータが動いてくれるのは楽しそうですよね。同じように、自分が考えたトリックに驚いてもらえたらうれしい。同時にそれがミステリーを書くことの難しさや苦しさでもあるので、いつも緊張感を持って臨んでいます」

本ミステリー界に大きな存在感を示していくであろう著者に、これからも注目である。

(日販発行:月刊「新刊展望」2014年4月号より)

今月の作品

波形の声
スーパーで教師の万引きを目撃したと告げた小学4年生のいじめられっこが自宅で襲われ、補助教員に疑惑が…。「日常の謎」を描く珠玉のミステリー集。表題作をはじめ全7編を収録。
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プロフィール

長岡弘樹
長岡弘樹
Hiroki Nagaoka
1969年山形県生まれ。筑波大学卒業。団体職員を経て、2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。11年に発売された『傍聞き』文庫版がロングセラーとなる。13年『教場』が「週刊文春ミステリーベスト10」首位、「このミステリーがすごい!」2位に。他著書に『陽だまりの偽り』『線の波紋』。

新刊展望のご案内

新刊展望 2014年4月号
【今月の主な内容】
[特集]読書がもっと楽しくなる「本屋大賞」に注目!
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著者関連商品

線の波紋
一人娘・真由が誘拐されて1か月、役場の仕事に復帰した白石千賀は、入札業者の不審な電話に衝撃を受ける(「談合」)。誘拐事件から2か月後、同じ町内に住む24歳の会社員・鈴木航介が死体で発見され、不思議なことにその表情には笑みが浮かんでいた。同僚の久保和弘はその1週間前、経理部員である航介から不正を指摘されていた(「追悼」)。誘拐事件を追っていた刑事・渡亜矢子は、地道な捜査を続け、ついに犯人像に近い人物にたどり着くが…(「波紋」)。すべてのエピソードが1つの線になり、事件の背景に「誰かが誰かを守ろうとした物語」があったことを知る(「再現」)。誘拐された幼女はその家で何を見たのか!?ベストセラー『傍聞き』の気鋭作家が「優しさの中の悪意」を世に問う。
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