[日販商品データベースより]
小説、日記、手紙、詩歌、演説、さらにはSNSの投稿文に至るまで、さまざまな目的で書かれた「文」には、意識的にも無意識的にも多彩な文体が選ばれ、表現されています。
けれども、使われた言葉の特徴や微妙なニュアンスは、時が経つにつれて次第に薄れ、忘れ去られることが少なくありません。本書では、それらの言葉を再び蘇らせるために、文学愛好者や言葉を学び始めた人々に向けて出版された数多くの〈文例集〉〓大量に出版された語彙集や作法書、実用書、アンソロジーなど〓を手がかりに、文体の背後に隠れた深層に迫ります。
これまであまり注目されることのなかったこれらの資料群から、無名・有名を問わず多くの作家たちが描いた文学作品における文体の実態をとらえ、14篇の論考と100冊の書目解題を通じて、文学の実作とそれを受け取る人々の間にあった〈意味〉の輪郭を鮮やかに復元していきます。
【本書のポイント】
〓〈文例集〉を文学研究における重要な資料群として新たに提案
〓14篇の研究論文を通じて、散文や詩歌の作者たちとその読者が〈文例集〉とどのように関わりを持ったのかを解明
〓100冊の書目解題と書影を掲載したカタログ「文範百選」を収録
【……文学研究が小説や詩の言葉を「現代語訳」した意味内容だけを考察対象とするのではなく、右にみてきたような文体のトーンや混淆ぶりを含みこんだ形で捉えて分析するにはどうすれば良いか? そうした問いに手がかりを与えてくれるのが、本書で〈文例集〉と総称する資料群です。近代には右に見てきたような文体状況と呼応するように、様々なジャンルにわたる語彙集や文例集、作法書、あるいは個人・流派ごとのアンソロジーが、実用的な言葉の初学者用入門書からかなりの文学愛好者に向けた書物にいたるまで、大量に出版されていました。書簡、日記、美文、論文、翻訳、金言・教訓、紀行文、近代詩、戯曲、音曲、漢詩、和歌・短歌、俳諧、言文一致会話、説教、朗読、演説、労働者の言葉、小説―ずいぶん読まれていたらしいにもかかわらずどの古本屋でもボロボロになって本棚の隅に置かれており、図書館でもあまり顧みられていないこれらの文例集こそ、失われつつある近代文学のニュアンスを読みとくための「類型辞書」ともいうべき役割を果たしてくれる資料群なのです。】……『文体史零年』のための序―『吾輩は猫である』の文体から(多田蔵人)より
執筆者:多田蔵人/馬場美佳/倉田容子/都田康仁/杉山雄大/堀下翔/田部知季/栗原悠/合山林太郎/北川扶生子/湯本優希/高野純子/山本歩/谷川恵一
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