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[日販商品データベースより]
魚類図譜に込められた「知の冒険・智の愉悦」
「日本の博物学が世界に誇る最大の遺産は、美しい彩色が施された魚類図譜です。質と量ともに江戸から明治、大正にかけて、日本ほど魚類図譜の成果を上げた地域は、ほかに見あたりません。」作家、博物学研究者の荒俣宏さんは、そう称賛の声を上げる。世界最古の魚類彩色図譜といわれる『モルッカ諸島魚類彩色図譜』(1718〜1719年)に描かれた魚の数は約400点。以後、20世紀初頭までヨーロッパを中心に大作の魚類図譜が次々と出版された。そして、高松藩5代藩主・松頼頼恭の命に奉じて制作された、日本で初期の彩色魚譜「衆鱗図」(1760年前後)は、 立体的な折立形式の全四帖に723点の海の生き物が描かれ、名だたる世界の魚類図譜をしのぐ規模と完成度を誇る。しかし、残念なことに、日本の博物魚譜は筆写本にとどまり、欧米のように石版を起こしての印刷に至らなかったことで、このような素晴らしい魚譜の存在が世界に周知されなかった。「日本の魚類図譜は、生き生きと描かれています。刺身を食べている民族ですからね。描いた絵がおいしそうに見えないとだめなのです」荒俣さんが語るように、日本の魚類図譜に宿る生命感を見つめると釣り人ならなおさらのこと、これまでとは一味も二味も違う新しい見識が芽生えるかもしれない。
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