[BOOKデータベースより]
本書は、ミルというヴィクトリア時代を代表する知識人を媒介に、時代の思潮全体をできる限り鳥瞰し各領域を架橋することを目指した。とりわけ、わが国のミル研究では時代精神としての“科学”の影に隠れがちであった側面、功利主義・科学主義の反面であるロマン主義や宗教、文芸や古典趣味などについて、ヴィクトリア時代の文脈において捉え直すところに特色を出そうとした。併せて、現代の大衆社会、消費社会の原型が形作られたヴィクトリア時代を代表する思想家ミルの現代にとっての先駆的意義についても、わが国の研究では見過ごされがちであったその認識論、幸福論、正義論を通じて提示しようと試みた。
第1章 J.S.ミルとロマン主義―ワーズワス、コールリッジ、カーライルとの関わり
第2章 ヴィクトリア期の時代思潮における中世主義と古典主義
第3章 イングリッシュ・ユニテリアニズムとヴィクトリア時代思想
第4章 J.H.ニューマンの知識論―ヴィクトリア時代の信仰と科学
第5章 オウエン、トンプソン、J.S.ミル―ヴィクトリア時代のアソシエーション論
第6章 J.S.ミルとS.スマイルズ―ヴィクトリア時代の思潮
第7章 ジョン・スチュアート・ミルと直観主義形而上学
第8章 J.S.ミルにおける徳と幸福
第9章 J.S.ミルの経済思想における共感と公共性
第10章 アマルティア・センにおけるJ.S.ミルの評価
本書は、ミルというヴィクトリア時代を代表する知識人を媒介に、時代の思潮全体をできる限り鳥瞰し各領域を架橋することを目指した。とりわけ、功利主義・科学主義の反面であるロマン主義や宗教、文芸や古典趣味などについて、ヴィクトリア時代の文脈において捉え直した。併せて、現代の大衆社会、消費社会の原型が形作られたヴィクトリア時代を代表する思想家ミルの認識論、幸福論、正義論を通じて提示しようと試みた。