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[BOOKデータベースより]
戦時中、信州・下伊那の山間に押し寄せた“分村”の波。村長はなぜ、「国策」の移民を拒むことができたのか―。信念を貫いて村民を救い、郷土の礎を築いた村長・忠綱。史料と証言を積み重ね、人物像と行動の実態に迫る。
第1章 忠綱の原点―教育と医療への思い
[日販商品データベースより]第2章 自由大学で学ぶ―生涯の基軸
第3章 満洲移民とは―推進の背景・経緯と長野県
第4章 忠綱が見た満洲移民
第5章 分村移民を拒む―2回目村政での決心
第6章 教育と医療への情熱
第7章 満洲国の崩壊と忠綱の戦後
戦前、「国策」として進められた中国東北部「満洲」への移民では、全国各地から32万余の移民者が海を渡った。終戦時の移住者27万人のうち約8万人は、二度と故国の土を踏むことはできなかった。長野県内でも、村や地域単位の「分村・分郷」移民によって全国最多の移民を送出したが、これを、自らの信念に基づいて拒否した村長がいた。下伊那郡大下条村(現・阿南町)の村長・佐々木忠綱。国策遂行を迫られた忠綱が下した決断は、もし進めていたら避けられなかった敗戦に伴う悲惨な犠牲から、多くの村民を救うことにつながった。
忠綱の存在と決断は徐々に知られてきたが、「拒否」という行動は記録に残りにくく、何が忠綱をそうさせたのか、また、具体的にどう行動したのか、実態はあまり知られてこなかった。本書では、忠綱本人や家族、周辺の貴重な証言や、役場に残る会議記録など、限られた史料を積み重ねることで「拒否」の実態に迫る一方、忠綱を動かした「学び」への強いこだわりや、それを起点とする地域の礎づくりなど、生き方や信念浮かび上がらせる。