[BOOKデータベースより]
大きな公園のベンチに、ぽつんと置き去りにされたひつじのぬいぐるみ。それは小さな『わすれもの』でした。ひつじは、カラスにつつかれたり、ベンチから転げ落ちたりしながらも、迎えが来てくれると信じています。けれどあたりが暗くなり、夜になると雨も降ってきて…。―昔、どこかに忘れてきた大事なものに、もう一度出会える絵本です。
[日販商品データベースより]切なくてあたたかい、小さな「わすれもの」の気持ち。ミナちゃんは、パパとママと大好きなひつじのぬいぐるみと一緒に公園に遊びに行きました。ベンチにひつじを座らせたミナちゃんは、遊びに夢中になり、公園にひつじをわすれてしまいました。ひつじは、カラスにつつかれたり、ベンチから転げ落ちながらも、迎えが来てくれると信じています。けれどあたりが暗くなり、その夜は雨も降ってきて・・・。
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おおきな公園のベンチに、ちいさな羊のぬいぐるみが、ぽつんと座っていました。なんでこんなところに置いてあるのだろう?通りかかる人はみんな、不思議に思います。「あんた、捨てられたのかい?」猫がたずねると、羊のぬいぐるみは答えました。「ちがうよ、ちょっとわすれものになっただけ。捨てられたら迎えはこないけど、わすれものは迎えがくるんだ」いちばんの友だちが迎えにくると信じて、ベンチを決して動こうとしない羊。「ぼくがいないって、気づいたかな。もしも気づいてなかったら、どうしよう」やがて日が沈み、雨が降って、羊は濡れながら夜をすごします──子どものころに感じた、迷子のときの気持ちを、覚えているでしょうか?身ひとつで深海のど真ん中に放り込まれたような恐怖。どことも知らない場所で、どうすればいいのかまるでわからないまま、身動きのとれなくなってしまうあの不安。もしも自分が同じように忘れられてしまったら?もしも自分のお気に入りを、どこかへ忘れてしまったら?そんなふうに考えてみると、羊の心細さがなんだかとてもリアルに想像できてしまって、胸がしめつけられます。「ぼくのことを忘れるなんて!」そんなふうに怒ってみたり──「今ごろぼくがいないと気づいて泣いているんじゃないか」そうして心配してみたり──不安のせいでいろいろなことを考えてしまって、ますます心細くなっていく羊。その感情のゆらぎがあまりにあわれっぽく、「おねがい、気づいて!早くむかえにきて!」羊といっしょにそう願わずにはいられません。まだ私が小学生になってすぐくらいのころ、お気に入りだったムササビのぬいぐるみをレストランに忘れてきてしまったことがありました。帰りの車中でそれに気づき、大泣きで迎えにいったことを覚えています。そのぬいぐるみも、今は娘の遊び相手。あのとき迎えにいってよかった、早く気づけてよかったと、この作品に出会ってしみじみ思い返しました。お気に入りのあのぬいぐるみが、あの人形が、もっと愛おしく大切に想える、やさしい一冊です。
(小説家 堀井拓馬)
私は このお話が大好きです。
もう社会人になっている次女と 大切なぬいぐるみとの
幼い時の関わりと 思い出と似ているからです。
次女も子供のころに このストーリーと似たような体験の
紙芝居を描いていました。(今も大切に置いています)
豊福まきこさんという作家さんは初めて知ったのですが、
表紙絵から始まって、内側、本編、裏表紙に至るまで、
それぞれにストーリー、想いが感じられました。
絵の立体感、奥行き、表情、色づかい、
どれも私の好みでした。
ひつじのぬいぐるみの立場で書かれた文章から
その気持ちをイメージする、
ミナちゃんという女の子の様子に
ホッとしたのは ひつじさんだけでなく
私自身でした。(koyokaさん 50代・兵庫県 )
【情報提供・絵本ナビ】