[BOOKデータベースより]
中世では、天使は神と人間の中間に位置し、「人間とは何か」という問題を解明するカギとして盛んに議論された。ときには天体の動かし手として、世界統治を司る「大臣」として、さらには中世版AIのような身体なき純粋知性として、つねに天使は哲学の中心にあった。本書は、古代ギリシアから受け継いだ世界観を背景に、プラトン・アリストテレス主義という二大伝統を経由して、トマス、スコトゥス、オッカムら代表的な哲学者によって、「天使論」が〈存在論〉〈認識論〉〈倫理学〉として体系化される軌跡をたどる。近現代にたしかに息づく知と自由への渇望に天使と悪魔がいざなう中世哲学入門―
第一章 この世界はどのようにして始まったのか―プラトン主義と「創世記」
第二章 天使のいる「世界」―ヒエラルキーを求めて
第三章 天体を動かす天使たち―アリストテレス主義と世界の永遠性
第四章 そもそも天使は存在するのか―プラトン主義とアリストテレス主義の総合
第五章 天使は身体をもつのか1―聖書からトマスまで
第六章 天使は身体をもつのか2―トマスとボナヴェントゥラの対立
第七章 思考実験としての天使の知―「身体なき精神」は何を思うか
第八章 中世版AI?―生得説と経験論の対立
第九章 悪という自由―主知主義から主意主義へ
第一〇章 悪への固執―自由の究極
終章 宇宙から天使が消えた後
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