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ピアノ曲《バラード》という詩の誕生
みすず書房 松尾梨沙
ショパンはその生涯に多くの歌曲を書いた。古典主義からロマン主義への過渡期にあった同時代6人の詩人の詩にショパンが付曲したものが主であるが、生前には刊行されず、ショパン作品群の中での位置づけは低い。これまで軽視されていたショパンの歌曲について、本書はまず詩の精緻な分析を行った上で、ショパンの付曲がいかに見事に各詩に対応しているかを明らかにする。ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちで、そのような意味で「ピアノの詩人」と呼ばれてきた。しかし本当は、まったく別の意味でそう呼ばれるべきだったのではないか。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出した、若手研究者の快挙。
ショパンと文学―新たな視座から第1部 6人の詩人から読み解くショパンの歌曲―その詩の構造と作曲技法との関わり(19世紀初頭ポーランドの文学と音楽―“第1部”導入として;オシンスキ―屈折した最後の啓蒙主義詩人;ミツキェヴィチ―「開かれた形式」の誕生へ;ヴィトフィツキ―生涯の友となった田園詩人 ほか)第2部 “バラード”の条件―ショパンが生んだ新ジャンルをめぐって(ポーランド文学の「バラード」に対峙するショパン;叙事詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(1);抒情詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(2);戯曲的特徴―バラードを支えるトリニティ(3))ピアノの「詩人」―ショパンがポーランドの言葉から得たもの
ショパンはその生涯に多くの歌曲を書いた。古典主義からロマン主義への過渡期にあった同時代6人の詩人の詩にショパンが付曲したものが主であるが、生前には刊行されず、ショパン作品群の中での位置づけは低い。一方で文学ジャンル「バラード」と共通する詩的な題名をもつ作品を、ショパンは4つ残した。ピアノを弾く人、聴く人に愛され続けてきた《バラード》1番から4番である。ピアノ独奏曲にバラードの語を用い始めたのはショパンが最初だが、その意図については、特定の詩作品との関連説が根拠なく有力視されてきた。ショパンの死後150年以上ものあいだ、なぜそのような解釈が許容されてきたのか。これまで軽視されていたショパンの歌曲について、本書はまず詩の精緻な分析を行った上で、ショパンの付曲がいかに見事に各詩に対応しているかを明らかにする。つまりショパンには、文学作品を構造的・理論的にとらえる高度な能力と、それを音楽で表現する技量があった。その発見を梃子に著者は、《バラード》の構造を詩学と音楽学を駆使してつぎつぎに、よどみない筆致で紐といてゆく。そして浮かび上がるショパンの《バラード》は、特定の詩にインスピレーションを得て思いつくままに書かれたようなものではない、壮大な芸術的営みである。ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちで、そのような意味で「ピアノの詩人」と呼ばれてきた。しかし本当は、まったく別の意味でそう呼ばれるべきだったのではないか。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出した、若手研究者の快挙。
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[BOOKデータベースより]
ショパンはその生涯に多くの歌曲を書いた。古典主義からロマン主義への過渡期にあった同時代6人の詩人の詩にショパンが付曲したものが主であるが、生前には刊行されず、ショパン作品群の中での位置づけは低い。これまで軽視されていたショパンの歌曲について、本書はまず詩の精緻な分析を行った上で、ショパンの付曲がいかに見事に各詩に対応しているかを明らかにする。ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちで、そのような意味で「ピアノの詩人」と呼ばれてきた。しかし本当は、まったく別の意味でそう呼ばれるべきだったのではないか。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出した、若手研究者の快挙。
ショパンと文学―新たな視座から
[日販商品データベースより]第1部 6人の詩人から読み解くショパンの歌曲―その詩の構造と作曲技法との関わり(19世紀初頭ポーランドの文学と音楽―“第1部”導入として;オシンスキ―屈折した最後の啓蒙主義詩人;ミツキェヴィチ―「開かれた形式」の誕生へ;ヴィトフィツキ―生涯の友となった田園詩人 ほか)
第2部 “バラード”の条件―ショパンが生んだ新ジャンルをめぐって(ポーランド文学の「バラード」に対峙するショパン;叙事詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(1);抒情詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(2);戯曲的特徴―バラードを支えるトリニティ(3))
ピアノの「詩人」―ショパンがポーランドの言葉から得たもの
ショパンはその生涯に多くの歌曲を書いた。古典主義からロマン主義への過渡期にあった同時代6人の詩人の詩にショパンが付曲したものが主であるが、生前には刊行されず、ショパン作品群の中での位置づけは低い。一方で文学ジャンル「バラード」と共通する詩的な題名をもつ作品を、ショパンは4つ残した。ピアノを弾く人、聴く人に愛され続けてきた《バラード》1番から4番である。ピアノ独奏曲にバラードの語を用い始めたのはショパンが最初だが、その意図については、特定の詩作品との関連説が根拠なく有力視されてきた。ショパンの死後150年以上ものあいだ、なぜそのような解釈が許容されてきたのか。
これまで軽視されていたショパンの歌曲について、本書はまず詩の精緻な分析を行った上で、ショパンの付曲がいかに見事に各詩に対応しているかを明らかにする。つまりショパンには、文学作品を構造的・理論的にとらえる高度な能力と、それを音楽で表現する技量があった。その発見を梃子に著者は、《バラード》の構造を詩学と音楽学を駆使してつぎつぎに、よどみない筆致で紐といてゆく。そして浮かび上がるショパンの《バラード》は、特定の詩にインスピレーションを得て思いつくままに書かれたようなものではない、壮大な芸術的営みである。
ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちで、そのような意味で「ピアノの詩人」と呼ばれてきた。しかし本当は、まったく別の意味でそう呼ばれるべきだったのではないか。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出した、若手研究者の快挙。