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[BOOKデータベースより]
第1部 生命を育む奇跡の星(宇宙と地球の誕生 地球―生命の星;急激な地球の変化;生命の誕生;生物の進化;生物の相互作用;生物の相互作用を維持する個体の様式 行動様式―行動学入門;感覚器・神経系・効果器・そして情報処理の範囲と棲息環境;情報を出すもの。受け取るもの;個体の情報と社会行動・亜社会行動;ヒトとは何か;人(人間)とは何か―文化・文明の誕生と継承)
[日販商品データベースより]第2部 人間と地球環境(人口増加と自然破壊;環境破壊と生態系の変化;公害;地球の光環境の破壊;地球温暖化;食料問題と危機;第2部のめとめと展望)
地球誕生以来、生物は2回にわたって地球に大きく作用した。1回目はシアノバクテリアの大発生であり、酸素を大量発生し地球環境を一変した。高濃度の酸素は、地球生命に早い運動能力と情報処理能力を獲得する礎を与え、その後に続くカンブリア紀の生命の大爆発へとつながる。カンブリア紀に生まれた多様な生命は、生産者と呼ばれる植物や藻類が太陽エネルギーを獲得し、食物連鎖の中でそのエネルギーを各個体が獲得するという仕組みの中で生存を続けた。個体はエネルギーを獲得しなくては生きられない。個体は必ず死ぬので繁殖しなくては種は滅びるという宿命の中で生命は連綿と進化を続けた。そして現代に至り、生物は2回目の大きな作用を地球に与えようとしている。その主役はヒトである。ヒトは巨大な文明社会を構築し、産業革命以来大量エネルギー消費をすることで増殖を続け、今回は大量の二酸化炭素を放出している。
食物連鎖の中で生きている限り、どのような種がどのような生命活動を行ったとしても一定のバランスが崩れることはない。しかし、ヒトは塀を築き自然とヒト社会の生存ルールを切り離した。ヒトが農耕生活を知り穀物収穫による太陽エネルギーの備蓄法を確立した時から地球上のエネルギーバランスは崩れ始めた。大型動物として、地球上でこれほど数の多い生物は存在しない。存在できる理由は、自己集団の農耕活動による食料の安定供給と、化石燃料と呼ばれる地球生命が長い歴史の中で備蓄したエネルギーの大量消費である。ヒトは自身が自然から切り離された塀の中で生活し食物を安定に供給されているという「家畜動物」であることに気づかなくてはならない。その上で、塀の外の自然を学び、家畜動物と野生生物の共存を目指さなければ、生き延びることは不可能な時代となった。
地球環境を保全するために、生態学の知識をベースとしなくてはならないことは間違いがないことであるが、地球を包括的に安定化し生存可能にするためには、生物学全体を理解し、しかも現代が抱える保全のテーマまで理解しなくてはならない。本書は、地球の誕生、生命の歴史、ヒトに至る早い運動の獲得や情報処理、などの基礎的知識を理解させるように構成されている。その上で生態学の一端を紹介した上で、現代が抱える環境諸問題に言及している。まずは、この本で全体の流れを理解すれば、より専門的な教科書を理解することが容易になるだろう。また、専門的な知識をすでにお持ちの読者にとってはこの本を手にすることで全体を整理することができるものと思う。