[BOOKデータベースより]
終わりよければすべて良し!?あの作品の最後の一文、知っていますか?名作の終わり方の謎を解く。
勇者は、ひどく赤面した。―太宰治「走れメロス」
下人の行方は、誰も知らない。―芥川龍之介「羅生門」
私の幻燈はこれでおしまいであります。―宮沢賢治「やまなし」
されど我脳裡に一点の彼を憎むこゝろ今日までも残れりけり。―森鴎外「舞姫」
彼は、細君の大きな腹の中に七人目の子供を見た。―葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」
僕は我に返って一生懸命手をたたいている自分に気がついた。―安岡章太郎「サーカスの馬」
また、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。―中島敦「山月記」
もはや逃げ場所はないのだという意識が、彼の足どりをひどく確実なものにしていた。―山川方夫「夏の葬列」
「…きっとあたしのもと来た少女の道へ戻る案内人になってくれるに違いないのだ。」と思いながら…。―寺山修司「線の少女」
番人はまた、独りぼっちになった。―小川洋子「愛されすぎた白鳥」〔ほか〕
終わりよければすべて良し?!
名作の終わり方の謎を解く。
あの名作の最後の一文、あなたは知っていますか?
明治の文豪から、現役の有名作家まで、計50の文学作品をとりあげ、それぞれの「最後の一文」から読み解ける終わり方の謎を解説しています。
各作品の「最後」が「最初」とどのような関係にあるのかに注目。
作家が終わり方に苦心し、終わりを何度も書き改めたり、終わり方から物語全体を組み立てたり…といったことまでしていたことが明かされていきます。
取り上げられる作品は、国語の教科書の定番作品(太宰治『走れメロス』、芥川龍之介『羅生門』)や、文豪の名作(夏目漱石『夢十夜』、森鴎外『舞姫』)、ノーベル賞作家(川端康成、大江健三郎)の作品や、ベストセラー作家(村上春樹、浅田次郎、東野圭吾など)、人気の作家(森見登美彦、新海誠など)の作品等々。
老若男女、読書の好きな人もそうでない人もアクセスしやすいラインナップで、実際にその作品を手に取って読んでみたくなる最適なブックガイドにもなっています。
目次
まえがき
1 教科書に載っているあの作品
太宰治「走れメロス」
芥川龍之介「羅生門」
宮沢賢治「やまなし」
森鴎外「舞姫」
葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」
安岡章太郎「サーカスの馬」
中島敦「山月記」
山川方夫「夏の葬列」
寺山修司「線の少女」
小川洋子「愛されすぎた白鳥」
2 名作の終わり方
夏目漱石「夢十夜 第一夜」
梶井基次郎「檸檬」
二葉亭四迷「浮雲」
国木田独歩「忘れえぬ人々」
志賀直哉「小僧の神様」
川端康成「有難う」
北条民雄「いのちの初夜」
谷崎潤一郎「私」
安部公房「無関係な死」
三島由紀夫「憂国」
3 仕掛けるドラマ
向田邦子「かわうそ」
森見登美彦「走れメロス」
浅田次郎「特別な一日」
乃南アサ「向日葵」
池波正太郎「妙音記」
山本周五郎「墨丸」
藤沢周平「山桜」
平野肇「谷空木」
東野圭吾「宿命」
井上ひさし「四十一番の少年」
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