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[BOOKデータベースより]
できるだけ少ない言葉で詩を書いてみたい―誕生の不思議、いま触れている感覚、死の向こう。十四行に凝縮された軽やかにして豊かな88篇。2020‐21年に書かれた最新詩集。
椅子を引き
[日販商品データベースより]気配が
老いて一日は
じっと
明日より今日が
世間の罅
夜 座っている
目が覚める
此処がいい
微かな生きものの
意味ではなく
海を見下ろす崖
ミエテキコエテ
赤児の笑みが
オナカそれとも
自然に生まれ
言葉にならないそれ
遠く離れた
日々の現実だけが
刻々の今を
私が
言葉の殻
分別の罪を
書いた言葉を
文字で
育んだものは
どの一生も
ゆっくり
有ると無いが
目覚めない朝を
黄昏は
もし死が
手で書き
静寂が沈黙を
これを
誰もが私なのに
本を閉じる
悪は
言葉は騙り
気持ちが
悲鳴と喃語
自他の
夜 瓶は
自然に帰依して
自然に帰依せず
昼と夜の
秋 落ち葉の
昨日は嘘
本にひしめく
事実が
言葉が落としたもの
記憶にないのに
裸の足で
青空は
意味よりも
昨日は
いつでもどこでも
無限に抱かれて
知ラナイノニ
音楽の束の間に
生まれる前の
問いがそのまま
寂しさに入る
永遠が恵む
あなたと
天から
自然は語らない
沈黙に
問いに
どこ?
なんでもない
欲は涸れず
死は私事
残らなくていい
死の色は
無はここには
水平線で
小さな黄色の花
姿なく
昨夜から
私はここに
そこにいつまでも
諦め故に
足は地を
ひと足
二月
無恥
いのちの無言
あとがき
できるだけ少ない言葉で詩を書いてみたい――。「夥しい言葉の氾濫に、小さくてもいいから詩の杭を打ちたい」デビュー以来つねに第一線にありつづける国民的詩人、谷川俊太郎。70年の詩作を経て至った、瑞々しく自由なる新境地。誕生の不思議、いま触れている感覚、死の向こう……老いて一日は旅。軽やかにして豊かに凝縮された十四行詩88篇。