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急性骨髄性白血病で自宅療養することになった亮輔は、中学生のときに被爆していた。大日本帝国陸軍偵察機パイロットのひとり息子であった彼は、当時、広島市内に住んでいたのだ。妻と娘は、亮輔が大事にしている仏壇で、異様に古びた標本箱を発見する。そこには、前翅の一部が欠けた小さな青い蝶がピンでとめられていた。妻も娘も知らなかったが、それは昭和20年8月に突然断ち切られた、切なくも美しい恋物語を記憶する大切な品だった―。第26回小説すばる新人賞受賞作。
[日販商品データベースより]白血病で療養する父の持物の中にみつけた、小さな青い蝶がとめられた標本箱。それは昭和20年8月に突然断ち切られた、淡く切ない恋物語を記憶する品だった…。〈受賞情報〉小説すばる新人賞(第26回)
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第26回小説すばる新人賞受賞作品。
急性骨髄性白血病で自宅療養することになった父は、中学生のときに被爆していた。大日本帝国陸軍偵察機パイロットのひとり息子であった父は、当時、広島市内に住んでいたのだ。娘・きみ子と母は、父が大事にしていた仏壇で、異様に古びた昆虫の標本箱を発見する。そこには、前翅の欠けた小さな青い蝶がピンでとめられていた。母も娘も知らなかったが、それは昭和20年8月6日に約束されていた、切なくも美しい恋物語を記憶する大切な品だった。1945年と現代の〈8月〉が交錯しながら展開する、感動のデビュー作。
<プロフィール>周防 柳(すおう やなぎ)
1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、編集者・ライターに。『八月の青い蝶』で第26回小説すばる新人賞を受賞。