[BOOKデータベースより]
わたしの辞書に「希望」なんかない。1995年に生まれ、2011年3月に卒業式をむかえた15歳たちの1年間。中学生から。
[日販商品データベースより]茨城にくらす中学3年生の八乙女市子は、クラスメイトの偉生から突然告白され…。坪田譲治文学賞作家・濱野京子が、2011年3月に中学卒業をむかえる15歳を主人公に、現代を生きることの「希望」を問う意欲作。
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あたしは1995年生まれ。今年、中学3年生になった。「希望」はない。なので、家の辞書すべてから「希望」の項目を切り取った。、『岩波国語辞典』からも『広辞苑』からも、その他の辞書からも・・・。まわりの子の希望もたいしたものじゃない。「公務員」とか「正社員」とか「読者モデル」とか。でも一人、変な子がいた。「日本一の鉱物学者」になるんだとか。彼はまわりから浮いている。なぜか、その子にコクられてしまったあたし・・・。
あたしの生まれた1995年は、阪神淡路大震災、サリン事件があった年。その後、9.11の同時多発テロ、イラク戦争、自衛隊の派遣、リーマンショックと続く。どうなる んだろう、あたしたちの未来。やっぱり、わが辞書に「希望」はない。卒業式と高校入試の合否発表があった。発表の翌日の3月17日、大地震発生。原発事故発生。怖かった。思いもしなかった出来事がおきた。遠い世界の誰かの出来事ではなく、まさに我が事として。
悩み、悲しみ、涙する。でもお腹は空くし、否応なしに新しい日々は始まる。しばらくして、あたしは新しい国語辞典を買った。この辞書には「希望」という言葉が載っている。
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私の娘は彼らと同学年。忘れないために、考え続けていくために、どんな時代を生きているのか、生きていくのかを知る手がかりにするために、若い人たちに手にとってもらいたいと思いました。(なみ@えほんさん 50代・大阪府 )
【情報提供・絵本ナビ】