[BOOKデータベースより]
27年間兄だと信じていた男は何者なのか?村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。竜彦は偽者なのではないか?全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う―。第60回江戸川乱歩賞受賞。
[日販商品データベースより]27年間兄だと信じていた男は何者なのか…。中国残留孤児の兄が帰国した際、すでに失明していた和久は兄の顔を確認していない。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。〈受賞情報〉江戸川乱歩賞(第60回)
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69歳になる全盲の村上和久は、10年もの間、不仲になっていた娘の由香里から、腎不全の孫娘・夏帆に腎臓を移植して欲しいと頼まれた。しかし、病院での検査の結果、和久の腎臓は数値が悪く、移植に適さないことが分かった。失望した娘から責められ、無力感に打ちのめされる和久に、岩手の実家に住む兄の竜彦から電話で母が倒れたと知らされる。
見舞いを口実に娘と一緒に帰郷した和久は、孫への腎臓移植を竜彦に頼むが断られる。検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に、和久は不自然さを感じる。中国残留孤児の兄は1983年に永住帰国したのだが、すでに失明していた和久は兄の顔を確認していない。もしかしたら兄は偽物なのではないか、だから血縁が判明してしまう検査を拒むのではないか、という疑念に取りつかれる。
実家の納屋でヒ素の小瓶を見つけた和久は、兄が母親に少しずつヒ素を盛って殺し、わずかな遺産を奪おうとしているのではないか、と疑いを強める。兄は国家賠償を求める訴訟を起こしており、裁判の費用で金銭的に困っているのだ。真実を突きとめる決意をした和久の元に、差出人不明で点字の俳句が一日おきに届くようになる。
和久は兄の正体と過去を追うべく、兄を知る元満州移民の老人から話を聞くなど単独で調査を進めるが、残留孤児の支援団体の男から調査をやめるように脅される。そんな中、本物の村上竜彦を名乗る男から、和久の携帯に電話がかかってくる。偽物が自分になりすまして永住帰国していたため、やむを得ず日本に密入国したと言うのだ。
27年間、兄だと信じていた男は偽物なのか? 点字の俳句に隠された意味は? 誰の言葉を信じれば良いのか分からない葛藤を抱えながら、全盲の和久は真相を追う。
選考委員の有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛し、満場一致で受賞が決定。第60回を迎える記念の年にふさわしい、江戸川乱歩賞受賞作!