[BOOKデータベースより]
ノーベル経済学賞受賞アマルティア・センの集大成。真実を隠す政府、真実を報道しないマスメディア、機能しない民主主義は危機を招く。正義とは何かを問うような机上の空論ではなく、一歩でも正義に近づくための「正義のアイデア」を日本は必要としている。
正義へのアプローチ
第1部 正義の要求(理性と客観性;ロールズとその後;制度と個人;声と社会的選択;不偏性と客観性;閉鎖的不偏性と開放的不偏性)
第2部 推論の形(立場、妥当性、幻想;合理性と他者;普遍的理由の複数性;実現、帰結、行為主体性)
第3部 正義の材料(暮らし、自由、ケイパビリティ;ケイパビリティと資源;幸福、福祉、ケイパビリティ;平等と自由)
第4部 公共的推論と民主主義(公共的理性としての民主主義;民主主義の実践;人権とグローバルな義務;正義と世界)
不公正・不平等が蔓延する時代に、どうすれば正義を促進し、不正義をおさえられるかという問いを徹底的に追究。ロールズの正義論を踏まえて、センの正義に関する議論を網羅した集大成。
アマルティア・センは、アジア初のノーベル経済学賞を受賞したインドの経済学者。『不平等の再検討』、『貧困と飢饉』(いずれも岩波書店)などのがっちりした専門書が定番ですが、近年『貧困の克服』、『人間の安全保障』が集英社新書でベストセラーになるなど、一般にも広く読まれるようになった印象があります。今回の原著は、2009年に刊行された、センの経済政策の集大成。邦訳にして600ページ超の大著ですが、必ずや基本図書となる1冊です。